抄録
症例の概要:患者は51歳女性.下顎左側小臼歯部辺縁歯肉の違和感,下顎左側大臼歯部欠損による咀嚼困難を主訴に来院.歯周治療後,ミリング・テクニックを用いた部分床義歯を装着し咬合の回復を図った.
考察:装着後4年経過時に,支台歯の歯根破折が認められた.これは,高い機能力が発揮されたがゆえの弊害であったと考察される.しかし,QOLに関する客観的な評価は良好な結果を示しており,本症例における治療計画は妥当であったと判断される.
結論:片側性に大臼歯の喪失した症例に対して,機能時の義歯の動きを抑制する目的でミリング・テクニックを用いたことは,咀嚼機能を回復し,QOLの向上にとって有効であった.