抄録
症例の概要:患者は糖尿病を有する60歳男性.慢性歯周炎に起因する上顎右側側切歯の動揺による咀嚼困難を主訴に来院した.予後不良により抜歯を行い,接着ブリッジを製作し,装着した.その後,臼歯部欠損についても同方法による機能回復を行った.
考察:接着ブリッジは咬合への配慮および調整が必要である.また,設計および材質は接着ブリッジの維持に寄与し,3年以上良好に機能した.適切な装着材料の選択,適確な接着操作および清掃性向上を促す設計も接着ブリッジの長期安定を可能とした.
結論:糖尿病のような歯周病のリスクを伴う症例において,患者の満足を得ることができた.侵襲を少なくし,長期に良好な機能回復を導くことができた.