抄録
慢性タイプの欠損歯列は切れ目のない連続して経過する疾病であるため,その病態把握はコースとして捉えるほうが臨床には有用である.欠損歯列のコースには,1.どのルートを通って咬合崩壊へ接近していくか,2.どんな欠損歯列の終末パターンに向かって進んでいるか,3.欠損拡大の喪失速度の緩急などの動態がコースの特性をみる指標になる.著者はコース指標となる3 グラフの合成図を参考にして欠損歯列の病態コースを視覚的に捉えるようにしている.そのコースのなかで比較的頻繁に見られる欠損パターンの一つに注目し,その臨床的な特性を調べてみた.それを「上減の歯列」と名付けた.