抄録
目的:上顎腫瘍切除患者が,手術直後から装着されているイミディエイトサージカルオブチュレータと,その後創面が安定してから製作されるディフィニティブオブチュレータ(顎義歯)の発語明瞭度を比較検討し,音声機能回復の相違を明確にすることを目的とした.
方法:本学を受診した上顎腫瘍切除予定の患者の中から,手術後の骨欠損形態がAramany 分類class IIに属した10名に対し,イミディエイトサージカルオブチュレータ装着時,ディフィニティブオブチュレータ(顎義歯)装着時に発語明瞭度検査を行い比較した.また子音別発語明瞭度として構音様式別,構音点別発語明瞭度を算出し,その差異について明らかにした.
結果:イミディエイトサージカルオブチュレータ装着時の発語明瞭度は86.83%,ディフィニティブオブチュレータ(顎義歯)装着時では89.17% となり統計学的に有意差は見られず,両者とも軽度発音障害を示した.また子音別発語明瞭度では構音様式別発語明瞭度に有意差は見られなかったが,構音点別発語明瞭度では歯音に有意差がみられた(p=0.03).
結論:Aramany分類class IIにおいてイミディエイトサージカルオブチュレータは発音機能に関して日常に不自由のない程度の回復を示すものであり,その有効性が示された.しかしディフィニティブオブチュレータと比較し,イミディエイトサージカルオブチュレータ(顎義歯)での歯音の回復は困難であることが示された.