抄録
補綴治療において予後分析の結果が適切な治療計画の立案,診断の精度向上および各種検査法の確立にフィードバックできれば有益だが,有床義歯では使用年数と患者口腔関連QOLの変化および治療に要したコストに関する総合的かつ長期的検討は少なく,義歯の長期経過および患者評価に医療経済を統合した診断・治療計画立案の根拠が乏しい.そこで,義歯の長期予後とその間の口腔関連QOLの変化を追跡し,義歯製作から寿命までの費用の算出により医療経済評価を行い,診断および治療計画立案へのフィードバックを行い,良質で効率的な医療の供給につなげたい.さらに,費用対効果の向上と医療費削減に寄与し社会および国民に貢献したいと考える.