抄録
高齢者人口の増加に伴い,欠損補綴による義歯の需要増加が予想される.義歯を持続的に使用するには清掃管理は重要である.そこで,義歯清掃法に適した義歯床用材料の開発として光触媒技術を応用したセルフクリーニングデンチャーを考案し,本論文では,これまでの基礎的な研究成果と今後の展望について報告する.複合型二酸化チタン配合アクリルレジン(セルフクリーニングデンチャー)は,就寝時に取り外した義歯に紫外線照射するだけで,光触媒効果により汚れを分解し,カンジダのレジン表面への付着を阻害することが可能である.また,懸念される機械的性質も従来型と比較しても強度低下を抑制でき,臨床への応用が期待される結果であった.