日本補綴歯科学会誌
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原著論文
義歯床用レジンの洗浄法によるバイオフィルム除去効果と表面粗さの変化
佐藤 薪大島 朋子前田 伸子大久保 力廣
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2013 年 5 巻 2 号 p. 174-183

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抄録
目的:現在の義歯の清掃方法を正しく評価し,最適な方法の選択基準を示すために機械的,化学的洗浄法の評価を行った.
方法:(1)義歯床用レジン片上にCandida albicansのバイオフィルムを形成させ,義歯洗浄剤使用群,非使用群とで,1日1回浸漬と洗浄を繰り返し,5日間の洗浄剤連日使用試験を行い洗浄剤の持続効果を確認した.残存菌量はREDOX Indicatorで測定した.(2)既製レジン片を5種類の義歯洗浄剤に浸漬したものと,歯磨剤,義歯用歯磨剤と義歯ブラシを用いたものについて表面粗さとバイオフィルム除去効果を測定した.
結果:(1)前日までに毎日洗浄剤を使用していてもレジン片を蒸留水で洗浄した群は5日間すべてにおいて多量の残存菌が検出され,洗浄剤使用群と対照群の間に有意差が認められた.(2)ブラシ使用後は表面粗さが増し,歯磨剤を併用すると著しく上昇しており,研磨剤の混入が大きく影響していた.バイオフィルム除去効果はブラシのみでは認められず,高研磨性の歯磨剤の併用が低研磨性より有意に高かったが,義歯洗浄剤の併用が最も優れていた.
結論:デンチャープラークの除去には歯磨剤を使用せずブラシで清掃した後,そのまま義歯洗浄剤に毎日一晩浸漬すべきである.
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© 2013 社団法人日本補綴歯科学会
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