抄録
症例の概要:歯科恐怖症に起因した多数歯の歯冠崩壊による咀嚼障害,および審美障害に対して,保存不可能な歯を抜歯して治療用義歯を製作,その後に最終義歯に移行し良好な予後を得た.
考察:初診時に適切な医療面接を行い,歯科治療に対する恐怖の原因を正確に把握し,患者に無用な恐怖感を与えず治療を遂行できた.さらに早期に審美性の向上を図り,患者の治療に対する関心を高めた.今回は,これらの対処により継続的な補綴治療が可能になったと考えられる.
結論:歯科恐怖症を有する患者においても,恐怖の原因を正確に把握し,それに対応して治療を行い,口腔内の改善を認識させることで,全顎的な補綴治療が可能である.