抄録
症例の概要:65歳女性.義歯不適合,ブリッジの動揺と審美障害を主訴に来院した.口腔内診査,X線診査,歯周組織診査の結果,すれ違い咬合による咀嚼障害及び審美障害と診断した.治療用義歯の製作後,全顎的補綴前処置を行い,適切な咬合高径の回復を図る治療計画を立案した.治療用義歯にて安定が確認された咬合高径にて,最終義歯を製作した.
考察:最終義歯により臼歯部咬合の安定,口腔関連QOLの改善が実現した.3年経過した現在も安定した術後状態を保っている.今後も咬合接触状態,歯周組織の術後管理が重要であると考えている.
結論:最終義歯の装着により,咬合関係の改善と審美性の回復,口腔関連QOLの向上が認められた.