抄録
咀嚼筋群によって発揮される力は顎口腔系に大きな影響を及ぼす.近年まで,この顎口腔系にかかる力のうち重要なものの一つとして,夜間ブラキシズムが長く注目されてきた.しかし最近の研究によって,咀嚼筋群の活動に関する知見が大きく変容しつつある.携帯型の高精度筋電計を用いて終日筋電図の記録・解析が可能となったことによる生物学的インパクトは大きく,これまでに原因の分からなかった臨床上の現象に対して覚醒時筋活動の視点から説明がつきはじめているものもある.本稿では,これらの方法論および集積されつつある最新の知見を含めて,顎口腔系への力の影響を考察した.