日本補綴歯科学会誌
Online ISSN : 1883-6860
Print ISSN : 1883-4426
ISSN-L : 1883-4426
専門医症例報告
咬合支持の喪失と義歯不適合による咀嚼障害に対して可撤性義歯により補綴を行った症例
伊東 令華
著者情報
キーワード: 部分床義歯, 咀嚼障害
ジャーナル フリー

2016 年 8 巻 3 号 p. 293-296

詳細
抄録

症例の概要:60歳の女性.義歯の不適による咀嚼困難を主訴に来院した.残存歯の咬耗,不安定な咬合支持,咬合平面の乱れと低位咬合にともなう義歯不適による咀嚼障害と診断された.治療期間中にすれ違い咬合となったが,オーバーデンチャーを治療用義歯として咬合平面の修正と咬合位の安定を図ったのち,最終補綴治療を行った.

考察:治療用義歯を用い,残存歯に対する前処置を行いながら顎機能と調和した理想的な咬合位と咬合接触関係を確立し,それを参照し最終補綴処置を行うことができた.

結論:多数歯欠損で咬合支持が失われ,咀嚼障害が認められた症例に対し,治療用義歯を併用した補綴治療を行った結果,口腔関連QoLの向上が得られた.

著者関連情報
© 2016 公益社団法人日本補綴歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top