2016 年 8 巻 3 号 p. 297-300
症例の概要:患者は62歳女性,歯肉の腫脹,排膿と下顎義歯不適合による咀嚼困難を主訴に来院した.重度慢性歯周炎のため多数歯を抜歯後,即時義歯を装着した.残存歯の歯周治療と咬合の安定を図ったのちに,電鋳テレスコープ義歯を装着し,高い満足と良好な予後が得られた.
考察:電鋳テレスコープクラウンの優れた把持性による二次固定効果とその維持力発現機構により支台歯の負担軽減が図られたこと,さらに,ダイナミック印象により粘膜支持の向上を図ったことが良好な予後につながったと考えられる.
結論:Eichner分類B3症例に対し,電鋳テレスコープ義歯による補綴処置は,咀嚼機能の回復および審美性の改善に有効で予後も良好であった.