2016 年 8 巻 3 号 p. 305-308
症例の概要:患者は49歳男性(初診時).義歯の動揺による咀嚼障害およびクラスプによる審美障害を主訴に来院した.暫間被覆冠および治療用義歯を用いた上で,歯周処置や根管治療などの補綴前処置を行った後に,コーヌステレスコープを応用した最終義歯を製作した.
考察:最終補綴装置の二次固定効果によって,重度歯周炎に罹患していた残存歯の歯周組織が安定するなど,良好な術後経過を得ることができた.
結論:咀嚼障害および審美障害を訴えていた多数歯欠損の患者に対して,支台歯への力学的負担配分を十分に考慮したコーヌステレスコープ義歯を適応したことにより口腔関連QoLが向上し,患者の高い満足を得ることができた.