2016 年 8 巻 3 号 p. 309-312
症例の概要:66歳女性,上顎前歯部義歯の不適合を主訴に来院された.全顎的に歯冠修復されており,上顎支台歯に多数のう蝕罹患を認めた.上顎プロビジョナルレストレーションを装着して支台歯の初期治療を行った後に再評価を行い,上顎コーヌスクローネ義歯を装着した.満足度の高い結果が得られ,5年間の経過観察を行った.
考察:広範な治療に際し,患者との信頼関係の構築に配慮しつつ,初期治療から段階的に補綴治療を進めたことが良好な結果に繋がっていると考える.
結論:欠損補綴治療は,支台歯の状態を適切に評価し,1歯1歯が力学的に無理のない支台装置とすることが重要であることが,本症例によって示唆された.