2017 年 9 巻 2 号 p. 149-152
症例の概要:66歳男性,咀嚼困難を主訴に来院した.上顎左側大臼歯欠損および第二小臼歯歯根破折を認めたため,抜歯後インプラント体を埋入した.暫間補綴装置にて咬合平面および側方誘導面の調整を行い,安定が得られた時点の咬合接触状態を反映させた最終補綴装置を装着した.
考察:アンテリアガイダンスの欠如や過大な咬合力が疑われた本症例では,暫間補綴装置で咬耗の進行様相を十分観察し,最終補綴装置に反映したことで術後の安定を得られたと考えられた.
結論:アンテリアガイダンスが欠如し過大な咬合力が疑われた上顎左側遊離端欠損症例に対し,暫間補綴装置にて得られた咬合接触状態を反映したインプラント補綴を用いることで良好な結果を得ることができた.