日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成15年度日本調理科学会大会
セッションID: 1C-a4
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大豆茹で汁による植物性食品の加熱軟化促進要因の検討
*魚住 惠塚本 知玄小野 伴忠
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キーワード: 大豆, 茹でる, 人参, 軟化
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抄録
<目的>植物性食品の加熱軟化には、細胞壁構造物質の変化が関与していることが知られている。演者は、先に、大豆茹で汁にはこの軟化を促進する作用があることを報告したが、本研究では、大豆茹で汁の加熱軟化促進作用の要因について検討し、植物性食品の加熱調理におけるテクスチャーコントロール、煮崩れ防止等に役立つ基礎的知見を得ることを目的として実験を行なった。
<方法>加熱軟化の対象として、人参を用い、大豆茹で汁画分により加熱軟化させ、咀嚼試験をおこなった。さらに、各画分に含まれていると考えられた成分を用いて、各種溶液を調製し、同様に人参を用いた加熱軟化によるモデル実験をおこない、先の咀嚼試験の結果と比較した。大豆茹で汁中にもっとも高濃度で含まれているミネラルであるKは、基本的に植物性食品の加熱軟化を促進すると考えられるが、モデル実験には、基準溶液として大豆茹で汁と同濃度のKを含むKCl溶液を用いた。さらに、大豆茹で汁に大量に含まれる糖類の影響、また、それらの相互作用について検討した。
<結果>大豆茹で汁画分のうち、人参の加熱軟化を促進する中心となる画分は、脱アニオン画分であり、逆にカチオンを除去することにより、軟化促進効果は、認められなくなった。しかし、大豆茹で汁に含まれるK濃度と同濃度のKCl水溶液の軟化促進効果は、大豆茹で汁よりも小さかった。KCl溶液に各種糖を添加することにより、加熱軟化促進効果が変化した。蔗糖は、KCl溶液の軟化促進効果を増大させた。
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© 2003日本調理科学会
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