日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成15年度日本調理科学会大会
セッションID: 2C-p3
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クロッテッド・クリームの性状に関する研究
*菊地 和美鮫島 邦彦
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抄録
【目的】クリームは乳製品の保存・加工品として古い歴史を持ち、イギリスの食文化においてもクロッテッド・クリーム(clotted cream)は日常的に生活の中に取り入れられている。日本においては、クロッテッド・クリームはスコーンを食べる時に用いられる程度で、その他の用途はあまり知られていない。このクリームは冷凍するとバターのように固まってしまうが、室温では口あたりや口溶けがよい。本研究では、クロッテッド・クリームのテクスチャー特性を活かした幼児食や高齢者に対する応用を検討したので報告する。
【方法】試料はびん詰の英国産市販クロッテッド・クリーム(乳脂肪分47%)を用い、顕微鏡観察、色調,動的粘弾性やDSCおよび官能検査を行った.比較としては、市販のホイップ用クリーム(乳脂肪分47%)、無塩バター(脂肪分83%)を用いた.
【結果】1.クロッテッド・クリームの微細構造は,気泡が観察されず、脂肪球が分散しており、バターに類似していた。2.色調ではホイップクリームに比べて、明度が低く、彩度やb*値が高くなった。3.動的粘弾性では20℃付近のG’値が102Pa付近を示していた.DSC曲線では2つのピークがあり、第1ピークは15_から_20℃付近、第2ピークは30℃付近にみられ、ホイップ用クリームのそれとは異なり、むしろバターと類似していた.一方、吸熱開始温度は5℃付近にみられ、ホイップ用クリームよりも低温度側にシフトした。また、クロッテッド・クリームは冷凍後解凍すると離水がみられており、冷凍による構造の変化が著しかった。官能検査では、味よりもテクスチャーに関する項目が高かった。
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© 2003日本調理科学会
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