日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成16年度日本調理科学会大会
セッションID: P-2
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九州支部
福岡県にみるさば料理の地域性
*金子 小千枝金縄 嘉代子
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キーワード: 福岡県, さば料理, 地域性
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抄録
目的 魚の中でさばは青い魚の代表であるが、「さばの生き腐れ」といわれるほど傷みやすい。また、主役にはならないが日常食としては人気の高い魚である。鮮度のよいものになると、高級魚にもまさるおいしさがある。福岡県の漁獲高で一番の魚はさばであり、全国的にも最も漁獲量は多い。このさばが福岡県でどのように食されているか、さばの鮮度・季節・地理的条件によって食され方にどのような特徴があるかを調査した。
方法 調理文化の地域性と調理科学-魚の調理-の調査に参加し聞き取り調査を行った。時期は2003年11月から2004年5月である。調査地域はかって福岡県の僻地と言われた山村(八女郡)、新鮮な魚が入手可能な地域(福岡市)、山村と都市部の中間地域(筑後地区)の三地域で、調査後特徴ある調理に関して追調査を行い、料理を再現し過程を記録した。
結果 三地区に共通した食べ方は塩焼き、煮物、味噌煮などであった。星野村は山村であり、交通手段が未発達の時期には魚は塩魚や干物で運搬されていた。塩さばもそのひとつで、昔から塩さばを色々に利用してきた。特に秋祭りには頭・尾をつけたままのゆずの香りがする“さば寿司”が必ず作られた。若狭さば街道で運ばれた塩さばで、関西地区ではよく作られるさば寿司が、形は異なるが福岡県の山村でも作られていることは興味深い。 都市近郊農村地帯である筑後地区ではしめさばの“温めなます”がある。また、かます寿司の代用にさば寿司が作られるようになった。新鮮なさばが手に入り易い福岡市では、寒さばを醤油とごまに漬け込んだ“ごまさば“が刺し身がわりに食され飯にもかける。このようにさばの料理には地域性がみられ、季節とともに行事との関連も深い。
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© 2004日本調理科学会
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