日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成16年度日本調理科学会大会
セッションID: 2A-a4
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一般講演
ジアシルグリセロールの乳化性に関する基礎的研究
卵黄およびpHの影響について
*河上 智子大橋 きょう子島田 淳子
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抄録

【目的】ジアシルグリセロール(DAG)は、グリセリンに脂肪酸が2つ結合した構造で分子内にOH基を有する事から、調理過程における挙動がトリアシルグリセロール(TAG)とは若干異なると考えられる。本研究は、DAGの乳化性に関する基礎的な知見を得る事を目的にし、卵黄の存在およびpHの影響について検討した。
【方法】脂肪酸組成およびトコフェロール含量をほぼ同一にそろえた調整TAGおよびDAGを試料油とした。1%卵黄水溶液を、酢酸もしくは炭酸ナトリウムを用いてそれぞれpH3、6および9に調製し、25℃におけるTAG、DAGとの界面張力を自動表面張力計(協和界面科学株式会社)で測定した。また、同様の卵黄水溶液とTAGもしくはDAGをそれぞれ5mlづつ、ハイフレックスディスパーサーを用いて10,000rpmで5分間攪拌し、得られたエマルションについて流動特性をコーンプレートタイプ回転粘度計(東機産業株式会社)で測定した。連続相による希釈法により乳化型を判定し、また粒子径について顕微鏡写真を撮り、解析ソフトで解析した。また、乳化容量についても検討した。
【結果】DAGと水との界面張力はTAGの約1/2であり、両者ともにpHによりほとんど変化しなかった。水相を1%卵黄水溶液にすると、両者ともに界面張力は大きく減少したが、その低下能はTAGの方が大きく、TAGとDAGの界面張力の差は小さくなった。TAG、DAGともに界面張力はpH6で最も低かった。調製したエマルションはpH6で粘性が高く、特にDAGエマルションで顕著であった。

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© 2004日本調理科学会
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