抄録
【目的】製菓に用いられるメレンゲは、卵白に砂糖を添加し泡立てて調製されるが、砂糖の添加量や撹拌程度によって、製品の性状は異なる。本研究では、砂糖の添加量、添加時期及び添加回数が、卵白メレンゲ内の空気含有量の変化に与える影響について明らかにすることを目的とした。
【方法】市販卵及び上白糖を用い、卵白100gに対して砂糖0、50、100、150gを添加した。添加時期は撹拌0分、0.5分(卵白が7分どおり泡立つ)、2.5分(卵白がほぼ泡立つ)、5分(卵白がしっかりと泡立つ)であり、添加回数は1あるいは2回とした。撹拌にはハンドミキサー(MK-H3-W、650rpm)を用いた。試料の比重はピクノメータ及びガラス容器(直径60mm高さ24mm)を用いて測定し、空気含有量(Cair)はメレンゲ(St)及び卵液(S0)の比重から次式により算出した。Cair=(1_-_St/S0)×100(%)
【結果】撹拌0分から砂糖を添加した場合、砂糖0gでは5分で空気含有量が82%に達し一定となった。砂糖量が増加すると空気含有量増加の傾きは小さくなり、砂糖150gでは30分で66%に達しほぼ一定となった。砂糖100gを卵白が7分どおり泡立つ0.5分で添加すると、空気含有量は急激に減少し、0分から添加した場合の増加曲線とほぼ重なった。しかし、ほぼ泡立つ2.5分で添加した場合は、65%前後で一定となった。1回で砂糖100gを添加した場合と2回に分け50gずつ添加した場合では、添加時期が卵白のほぼ泡立つ2.5分以降であれば、空気含有量に差は生じなかった。