抄録
【目的】ライフステージの中で乳幼児期の精神・運動機能の発達は著しくその成長リズムに合わせた食生活の組み立てが重要である。しかし、現在の私たちを取り巻く食環境の変化は乳幼児の食生活にも影響を及ぼしていることが懸念される。本研究では食生活アンケート調査を通して乳幼児期の食事スタイルと嗜好がどのように形成されていくかを明らかにすることを目的とした。
【研究方法】調査対象:秋田市の3保育所における乳幼児の保護者321名(有効回答51.5%)調査時期:2003年6月13日_から_6月27日 調査方法:調査アンケート用紙を保育所で配布、後日回収 アンケート調査内容:家族構成、身体状況、生活習慣、食習慣、食物嗜好など統計処理:SPSSデータ解析プログラム(SPSS株式会社)を使用
【研究結果】対象者の属性:身体発育調査に基づくカウプ指数から正常な発育の園児を対象としており、健康状態は全対象の99%が良い・普通と回答。アンケート調査結果より:1.生活習慣調査で3.6%に就寝時間が11時以降という夜型生活の傾向が見られた。2.食欲についての調査では年齢が上がるにつれて「食欲が無い」という回答が増えた。この現象はカウプ指数判定「やせ」からも示された。3.年齢が上がるにつれて偏食が増える傾向が見られた。偏食の内容は「野菜」が最も多かった(71.4%)。4.年齢別の調理法の嗜好性は成長と共に揚げる料理を好む傾向が見られた。5.年齢別、旬の食材の利用は年齢と共に利用が高くなり、食材の幅が広げられることは食嗜好形成に役立つと考えられる。乳幼児の食生活は母親の嗜好、食事スタイル、食環境の影響が大きいことが推測される。