日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成16年度日本調理科学会大会
セッションID: 2A-p12
会議情報

一般講演
澱粉の離水に及ぼすショ糖の影響
*平島 円高橋 亮西成 勝好
著者情報
キーワード: 離水, 澱粉, ショ糖
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
目的】澱粉の離水は澱粉糊液やゲルが熱的に不安定であるために起こる。澱粉糊液の冷却時には、加熱時に溶出したアミロースやアミロペクチン鎖が複雑な結晶構造を作りながら凝集する。このことは澱粉の老化として知られているが、このとき、澱粉糊液やゲルから水の分離が起こる。この離水は澱粉製品の保存においては好ましいことではない。本研究では、澱粉のなかでは離水が起こりやすいコーンスターチを選び、その糊液にショ糖を添加することにより、澱粉の離水にどのような影響を与えるかについて検討した。
【方法】3.0 wt%の澱粉(コーンスターチ)にショ糖を種々の濃度(0_-_50wt%)添加した分散液を加熱・冷却後、1、3、7、14、30、45日間5ºCで保存したものを試料とした。ショ糖を添加していないコーンスターチと水のみで調製した試料をコントロールとした。また、澱粉と水のみで加熱した後、ショ糖を添加した試料についても検討した。離水測定には遠心分離による方法を用い、上澄み液の重量を前試料重量で除して、離水率を求めた。
【結果】コントロールの離水率は45日間の長期保存することにより、約23%に達した。ショ糖を添加した試料においてもほとんどの試料がコントロールとほぼ同様の離水率になった。しかし、短期間の保存(14日以内)において10および20wt%のショ糖を添加した試料では離水率はコントロールと比べて低くなった。これは10および20wt%のショ糖添加試料では澱粉粒子の膨潤率が高くなっており、そのため、多くの水が澱粉粒子内に取り込まれたためであると考えられる。また、澱粉と水を加熱後、ショ糖を添加した試料では40wt%以上の高濃度のショ糖を添加した試料では全保存期間を通して離水率が大きく減少した。これはショ糖を加熱後に添加することにより、澱粉の糊化に不必要であった水をショ糖が吸収するためであると考えられる。
著者関連情報
© 2004日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top