日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成17年度日本調理科学会大会
セッションID: 1F-a7
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口頭発表
儀礼食としての正月のとろろ飯
東西文化の食の指標となるもの
*馬場 景子中野 典子
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抄録

山芋(自然薯)は、日本にある在来種の代表的なものである。しかし儀礼食として捉えられることが、今までほとんどなかった。馬場・中野は、山芋がとろろ飯として調理され、正月に食べられることに着目し調査を行なってきた。 調査から、正月に食べられるとろろ飯には、日常的に食べられるとろろ飯とは異なり、ハレの食としてとろろ飯を食べる文化的な理由が明らかになってきた。正月のとろろ飯の食習の特長の一つは、地域により、付加された意味が異なっている点である。民衆を中心に行なわれてきた行事一般に言えることであるが、中心から周辺に伝播されるに従い、本来の意味が失われ、伝播の途中から別の意味が含まれることがある。正月のとろろ飯食習は、まさにこの文化伝播の代表的な例である。 しかしこの食習は単に一地域の行事食ではなく、東日本を中心に正月の行事を関わりの深い行事食として分布傾向は、東北地方、甲信越、中部にはこの食習慣が多く分布している。東高西低の分布を示している。 本発表では、次の三点に焦点をあてる。(1)分布状況(日本での分布)(2)付随する行事(3)節句としての正月料理このことを考察することにより、正月のとろろ飯研究の重要性を示唆していく。

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