日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2D-p7
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口頭発表
教員養成系大学の調理実習における環境教育
電子掲示板の活用の可能性
*岸田 恵津永田 智子前田 智子西森 年寿中原 淳鈴木 真理子
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抄録

【目的】現行の学習指導要領には,家庭科においても環境に関する学習指導を行うことが示されているが,「家庭」教員免許状を取得するのに必要な科目として環境に関する科目が設定されていない。筆者らは免許必修科目の「調理実習」で環境教育に取り組んできたが,授業時間の不足により十分な効果が得られていない。そこで電子掲示板(BBS)を使用して調理と環境の関わりを議論する課外学習を導入することによる学習効果について実践を通して調べた。
【方法】調理実習において環境教育に関わる活動を行い,さらにそれに関するBBS上での議論(水・ごみと調理について)を取り入れた授業を行った。BBS未使用群(2000と2004年度,37人)とBBS使用群(2002と2003年度,27人)について,質問紙調査(環境に配慮した生活行動,児童・生徒に「学ばせたいこと」)と課題レポート(大学の調理実習で学ぶこと)の記述内容の分析,及びBBS上の発言状況を調べることにより導入の効果を評価した。
【結果】BBSでの議論は授業者の介入により深められていたが,将来の家庭科教師として調理実習の指導と環境教育を結びつけて考えるようになるまでには至らなかった。授業終了後の調査の結果,BBS使用群の方が,環境に配慮した生活行動が多くなり,調理実習は環境についても学ぶ場であるという意識が高まっていた。「学ばせたいこと」としては,いずれの群でも「楽しさ」「調理技術」が上位にあげられていたが, BBS使用群の方が,調理実習を通して環境に関わる内容を学ばせたいと考えられるようになる傾向があった。以上より,調理実習にBBSを使って環境について議論する課外学習を取り入れることの可能性が示された。

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© 2006日本調理科学会
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