日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2E-a7
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口頭発表
O/W型およびW/O型エマルションの伝熱特性
*水 珠子長尾 慶子
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抄録

【目的】 当研究室では、食材加熱中の熱移動現象の解明を目的に、食材をモデル化した系による加熱実験を行ってきた。今回はO/W型およびW/O型エマルションを調製し、水と油の量比あるいは分散媒の種類の違いが内部熱移動現象に及ぼす影響について検討した。
【方法】 水、コーン油および親水性・親油性各種食品用乳化剤を材料とし、油相体積分率(φo)を 0.65 から 0.9 に変えたO/W型乳化系と、水相体積分率(φw)を 0.4 から 0.8 に変えたW/O型乳化系を調製した。各試料の熱伝導率 λ の測定と熱拡散率 α の算出、鍋焼き加熱した際の加熱面から内部一次元方向各位置(0,1,3,5,7および10mm)の温度上昇曲線から算出した時間定数 τ(x ) 、光学顕微鏡による分散状態の観察と分散粒子径分布の解析、ならびにE型粘度計による粘度測定を行い、各乳化モデル系中の熱移動現象の追跡とレオロジー的性質とを比較・測定した。
【結果】 O/W型およびW/O型各エマルション試料の熱拡散率 α は、水分量ならびに温度の増加と共に上昇する。試料中の熱移動速度の指標となる時間定数 τ(x)の逆数も、乳化系のタイプにかかわらず系の水分量の増加と共に上昇する傾向が見られた。O/W型とW/O型エマルションのいずれにおいても、分散相体積分率 (φo or φw) が 0.4 から 0.6 の範囲において、分散状態が不安定であった。特に、W/O型エマルション試料は、分散相である水粒子間のファンデルワース引力の影響が大であることが示唆され、実際に分散水粒子の凝集が進行しやすい状況が見られた。 

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