日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2E-a8
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口頭発表
ココアクッキーの伝熱特性と物性とに及ぼす水およびコーン油の混合状態の影響
*喜多 記子長尾 慶子
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抄録

【目的】ココアは特有の風味と共に健康機能性面でも注目されている食材の一つである。演者らは、先に加熱用食材モデルを調製する食材として用いたココアの両親媒性を明らかにしたが1)、さらに今回はココアの特性に着目し、ココアおよび小麦粉に加える液相に水とコーン油の割合を変えたW/O型あるいはO/W型のエマルションを用いた生地を調製し、加熱中の伝熱現象ならびに加熱前後の物性に対する影響について検討した。
【方法】ココアの両親媒性1)を利用して水とコーン油とからなるW/O型およびO/W型のエマルションを調製し、それを小麦粉とココア粉末とからなる固体相に加えて一連のクッキー生地を得た。これら生地の熱伝導率を測定し、併せて金属製容器を用いた鍋焼き加熱を行った際の各生地内部温度の上昇曲線を求め、加熱速度を律する遅延時間定数を得た。また、各生地の応力緩和現象の温度依存性と焼成クッキーの破断試験を行った。液相中の水をココアの熱水抽出液に変えて調製したココアクッキーも同様な実験を行った。
【結果】熱伝導率測定と遅延時間定数の結果、伝熱特性には、いずれの試料もW/O型、O/W型の乳化形態よりも、先行研究2)と同様に含有水分量による影響が大であった。クッキーの破断測定の結果、液相中の水が45%の試料では、小麦粉のみの試料に比べ、小麦粉にココア粉末を添加することで、破断応力、破断エネルギーともに低い値となった。また、W/O型よりもO/W型エマルションを用いた試料の方がその値は高い傾向が見られた。
1)喜多、長尾:家政誌56、597(2005)、2)藤井、長尾:日調科誌37,283 (2004)

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