日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2E-p6
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口頭発表
ルチンを添加したゼラチン系のゾル‐ゲル転移特性
*粟津原 理恵野村 孝弘二階堂 修長尾 慶子
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抄録

目的: そばのポリフェノール成分であるルチンとゼラチンとの相互作用について、検討を試みた。これまでの基礎研究から、ゼラチンゲルの網目構造はルチンの添加により粗大化する傾向があり、さらにルチン添加量が増すと結晶の生成が見られゼラチンとの複合体形成も示唆された。これらの現象につき、ゼラチンゲルの力学特性、および複合体の分子量変化に注目して考察した。
方法: アルカリ処理低温抽出ゼラチンを50℃で蒸留水に溶解し、メタノールまたはエタノール溶解したルチンを添加してルチン濃度50_から_1000ppmの試料(全量100g)を調製した。メタノール、エタノール添加試料をブランクとして、細線加熱法により40℃から5℃まで冷却した際の動粘度をモニタリングしゲル化温度を測定した。また、5℃2時間冷却で得られたゲルの力学特性を測定した。さらにこのゲルを60℃で再溶解後、結晶を遠心分離させた際の上清を希釈し、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)による分子量測定を行った。
結果: 細線加熱法による動粘度モニタリングの結果、ルチン添加濃度が低い場合には無添加の場合と近似した動粘度変化を示し、ゲル化温度の変動はみられなかった。しかし、高濃度添加においては結晶形成と関連したと思われる変化が見られた後ゼラチンのゲル形成が起こる傾向が見られ、ゲル化温度は低濃度添加よりも低くなった。終濃度1000ppm以上となると、動粘度変化は小さくなりゲル化点が検出できなかった。さらに、添加したルチン濃度別にSECクロマトグラムを比較すると、分子量分布のパターンに大きな変化はみられなかったが、クロマトピークはルチン濃度が高くなるに従って高分子側にシフトした。

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