日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2E-p5
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口頭発表
プロテアーゼによるタンパク質ゲルの物性の改変
*國崎 悦子倉岡 桂子田原 加奈子宮本 京子江頭 和佳子朝倉 富子阿部 啓子舟木 淳子
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キーワード: 物性, 魚肉ゲル, 卵白ゲル
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抄録

【目的】タンパク質ゲルは、カマボコをはじめとして日本人の食生活に馴染み深いものである。その独特のテクスチャーは多くの人々に嗜好されるが、咀嚼困難者にとっては摂取しにくい場合もあり、改善が望まれている。本研究では、タンパク質の部分分解作用によってこの問題が解決されることを期待し、プロテアーゼがタンパク質ゲルのテクスチャーに及ぼす影響について検討を行なった。代表的なタンパク質ゲルとして魚肉ゲルを選択し、合わせて卵白ゲルについても行なった。
【方法】魚肉ゲルは以下の方法で調整した。玄海灘産マダイ(Pagus major)を原料とし、カマボコ作製方法を模して、水晒し、擂潰、食塩3%添加、蒸気加熱を行い、調整した2cm角の魚肉ゲルを1%プロテアーゼAアマノ「G」(PAA)水溶液に4℃で72時間浸漬した。PAAを用いずに同様に調整したものを対照魚肉ゲルとした。クリープメータ(株式会社山電)を用いて魚肉ゲルの破断強度を測定した。魚肉ゲルタンパク質の分解はSDS‐ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS‐PAGE)により観察した。
【結果】破断強度解析で得られたPAA添加魚肉ゲルの応力‐歪曲線は、もとの魚肉ゲルに見られたはっきりとした破断点が見られなくなるなど、対照魚肉ゲルとは異なる特徴を示した。歪率20%におけるPAA添加魚肉ゲルの応力は22.6±2.4(103Pa)、対照魚肉ゲルの応力は192.9±5.8(103Pa)であった(危険率0.1%で有意差あり)。また、SDS‐PAGEによりミオシン重鎖(MHC)およびアクチン(A)が選択的に分解されたことが観察された。
本研究の一部は、九州大学USIとの共同研究により実施されたものである。

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© 2006日本調理科学会
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