日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: P-3
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ポスター発表
炊飯方法の異なる玄米飯(ひのひかり、ミルキークイーン)のクライオ走査電子顕微鏡観察
*寺本 あい治部 祐里安川 景子佐々木 敦子渕上 倫子
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抄録

【目的】玄米は果皮、種皮、糊粉層が残っているため、吸水率が悪く、飯は硬くボソボソ感があり、食味がよくない。そこで本研究では、米の品種や炊飯器具、炊飯時の加水量を変えて玄米を炊飯し、炊飯後の組織観察を行い、炊飯方法が玄米の組織に及ぼす影響について比較検討した。
【方法】本研究には岡山県産「ひのひかり」と福島県産「ミルキークイーン」を使用した。浸漬前後の米と、炊飯後の飯の組織構造をクライオ走査電子顕微鏡(日立S-4500)で観察した。すなわち、玄米の背部、腹部、側部、中心部の組織を25倍、100倍、200倍、400倍、1,000倍、10,000倍の観察を行なった。
【結果】果皮、種皮、糊粉層、デンプン貯蔵細胞は浸漬すると、より明瞭に観察された。炊飯後、デンプン貯蔵細胞の境界が観察され、境界はミルキークイーンよりひのひかりの方が明瞭であった。また、炊飯器具の違いでは圧力鍋で炊飯した飯のみ境界が分かりにくかった。ミルキークイーンや圧力鍋での炊飯では、デンプンが膨潤し、糊状になったため境界が分かりにくかったと考えられる。反対にひのひかりでは、ミルキークイーンに比べて米粒の中心部まで水が侵入しにくく、デンプンの膨潤、糊化が十分ではなかったために境界が炊飯後でも明瞭であったと考えられる。さらに、炊飯後の小孔は、ひのひかりに比べてミルキークイーンで多かった。炊飯器具別では圧力鍋が最も多かった。小孔は水分の痕跡と思われるため、小孔の多く観察された飯ほど飯中に水が多いことが示唆される。加水量を1.9倍にして炊飯した場合、表層部だけでなく、かなり内部まで小孔ができており、内部まで水分の多い飯になっていることが示唆された。

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