日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 1B-a8
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口頭発表
水分収着モデルを用いた市販菓子の多重層収着水の解析
*佐藤 之紀和田 淑子肥後 温子
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抄録

【目的】市販菓子のテクスチャーは, 菓子に収着する水分により影響される。そこで, テクスチャーと関係の深い多重層吸着水を中心に, 各種市販菓子の水分収着曲線を解析した。
【方法】菓子類14種類を粉砕後, 塩類の飽和水溶液で相対湿度7.6-97%にそれぞれ調湿保存した。その後, 135-140℃で恒量になるまで乾燥させて菓子の水分含量を求め, GAB式およびSmith式を用いて, それぞれの菓子の多重層収着水量, 単分子層収着水量および各種水分収着パラメータを求めた。
【結果】吸着過程での菓子の多重層吸着水量は, 9-25g/100g-乾燥物であり, それぞれの菓子の単分子層吸着水量(4-11g/100g-乾燥物)の約2倍であった。 吸着過程で多重層吸着水量の多い菓子は, 高い単分子層吸着水量を示す傾向を示した(相関係数0.97)。また, 多重層収着の状態を示すSmith式の各種収着パラメータも, 多重層や単分子層吸着水量とそれぞれ0.8以上の高い相関係数を示した。さらに, 菓子類を小麦粉製品(4種類), その他のでんぷん製品(6), 野菜・果物製品(4)に分けて, 多重層吸着水量と単分子層吸着水量をそれぞれ比較したところ, 分散分析法による差は認められなかったものの, 多重層吸着水量は小麦粉製品(10.4±1.1g/100g-乾燥物), その他のでんぷん製品(12.1±2.5), 野菜・果物製品(16.7±5.6)の順であり, 単分子層吸着水量の多い順(小麦, 4.6±0.4; でんぷん, 5.8±1.4; 野菜・果物, 7.9±3.2)と同じであった。脱着過程では吸着過程よりもすべての測定値が高かったが, 類似の相関を示し, 多重層吸着水量が低湿度下の水分収着ですでに決定していると思われた。

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© 2006日本調理科学会
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