日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 1B-a7
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口頭発表
低GIビスケットの開発に向けて(1)
マルチトール、フラクトオリゴ糖を配合したビスケットの性状と嗜好性
*大喜多 祥子花崎 憲子倉賀野 妙子和田 淑子
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抄録

目的:血糖値の急激な上昇を抑えるGIの低い食は、糖尿病のリスクを減少させるなどの報告もあり、予防面でも注目されている。本研究では、インスリン分泌非刺激性で、かつエネルギーの低い機能性糖質甘味料マルチトールおよびフラクトオリゴを配合したビスケットの性状・嗜好性を検討した。両甘味料は砂糖同様にでんぷんの膨潤糊化を抑制することは既報で明らかにしており、ここではビスケットの食感発現に関与する生地グルテンへの影響を検討した上で、嗜好性に優れたビスケットにするための両者の適切な配合比を検討した。
実験方法:両甘味料のグルテンへの影響をみるため、ファリノグラフ試験(小麦粉300gに45%糖質水溶液210gを添加した生地)を行った。ビスケットの材料配合は薄力粉100、B.P2、機能性甘味料50、ショートニング32、水16、卵黄3とし、マルチトール:フラクトオリゴ糖の配合比は、3:0、2:1、1:2、0:3の4水準とした。生地は厚さ5mm、直径32mmに成形後焼成した。生地については定速圧縮試験、製品についてはスプレッド、焼き色測定、定速圧縮破断試験、官能検査を行なった。官能検査は女子大生48名をパネラーとし、評価項目は焼き色、硬さ、砕けやすさ、甘さ、甘味の好ましさとし、順位法で行った。
結果:1)ファリノグラフではフラクトオリゴ糖はマルチトールに比べ、短いミキシング時間で伸展性に優れた生地になる傾向がみられた。2)フラクトオリゴ糖が多いほど、生地の最大圧縮エネルギーが低値、製品の破断エネルギーが低値であったことから、フラクトオリゴ糖は生地のグルテンの性質を軟らかくすると考えられた。3)フラクトオリゴ糖は製品のスプレッドを増し、焦げ色に寄与した。4)官能検査ではマルチトールが多いほど砕けにくく甘く、甘味の好ましさと総合評価においては両甘味料の配合比2:1が有意に好まれた。

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