日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 1C-a2
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口頭発表
打ち豆の調理特性と浸漬汁の抗酸化能について
*柳原 理奈佐藤 真実谷 洋子
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抄録

【目的】 福井県の郷土食に挙げられる打ち豆は、大豆を石臼の上におき木槌でつぶしたものである。大豆としての栄養価と潰したことにより調理の簡便性を合わせもつ貴重な食材である。本研究では打ち豆の調理特性を明らかにするとともに、県内の一般的な料理法である打ち豆汁の浸漬汁(溶出液)が、味噌汁や豆乳などと同様に抗酸化機能がみられるかを検討した。
【方法】 打ち豆は高橋製粉所製(福井市)の潰し後1ヶ月経たないものを使用した。打ち豆の調理特性は、調味料の違いによる浸水、加熱時の豆の吸水率と硬さ(レオテック社製NRM-2002J)の変化を測定し、浸漬汁の官能検査を行った。また打ち豆、浸漬汁は抗酸化機能を評価するために総ポリフェノール量(Folin-Denis法)とDPPH分光測定を行った。
【結果】 大豆と比較して、打ち豆の吸水率は58.3%と高く、また平衡状態に達するまでの時間が約2時間と早い。官能検査では、酢を除く全ての調味料において、加熱後15分経過したものが甘味、うま味があり、不快臭がなく好まれた。浸水と加熱時間が長くなると、総ポリフェノール量と抗酸化能は豆で減少するが、浸漬汁で増加する。加熱5分までの変化は大きいが、30分までの変化は小さく、30分でほぼ浸水、加熱時間の差はみられなくなった。また味噌汁(具なし)と浸漬汁を比較するとほぼ同程度の抗酸化能を示していた。郷土食である打ち豆汁の調理法が健康的にも好ましいことが示唆された。

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