日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 1C-a3
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口頭発表
低温スチーミング処理によるカットキャベツ及びモヤシの日持ちの向上
*伊藤 直子山崎 貴子岩森 大堀田 康雄村山 篤子
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抄録

近年様々な種類や形態のカット野菜が販売されており、業務用のみならず、一般家庭でも若い世代と高年齢層に特に需要が急増している。カット野菜は下処理の手間が要らず、台所からの廃棄物が出ない、さらに業務用においては作業がマニュアル化しやすい、下処理時間を有効活用できるなど多くの利点がある。しかし、カット野菜は大腸菌等の汚染を防ぐため、一般にカット後に次亜塩素酸等により殺菌され、洗浄される。そのため、消毒液の残存や、栄養素の減少、特に水溶性ミネラル、ビタミン等の流出等がおこりやすく、ホール野菜に比べ安全性や栄養面で問題がある。一方、これまでの研究より低温でのスチーミングは生に近い食感を保ち、大腸菌が殺菌されるという結果が得られている。そこで、野菜を低温スチーミングすることにより、安全で栄養価を保ったまま日持ちを向上させることができないかと考えた。
(材料及び方法)炒め野菜の材料として販売されることの多い、キャベツ、モヤシを用いた。キャベツは外葉及び芯を除き、水道水で洗浄し、全体を幅8-10mm程度に切断した。モヤシは水道水で洗浄した。低温スチーミングは50℃、55℃、60℃、70℃で一定時間行い、室温まで下がった後、ポリエチレン袋に小分けし、室温及び冷蔵庫に保存し、変化の状態を観察した。また、ビタミンや、汚染菌数の変化等についても調べた。
(結果及び考察)50℃、55℃加熱のものは見かけ上生とほぼ同等であったが、60℃以上で加熱したものは全体が萎凋していた。生では室温保存1日後のキャベツの切り口と、モヤシ全体で褐変、腐敗が始まっていたが、55℃加熱のものは1日後も生に近い状態を維持していた。冷蔵庫保存の場合は、生では3日後で褐変が始まったが、55℃では5日後でも生鮮に近い状態を維持していた。このことより、55℃でのスチーミングがキャベツ及びモヤシの品質保持期間を向上させると考えられる。

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