日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 1A-a2
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口頭発表
三重県尾鷲市と海山町における「押しずし」の実態
*岡野 節子堀田 千津子
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抄録

[目的]尾鷲市や海山町には古くから「押しずし」が伝承されている。作り方は押し型に酢水をかけ、はらんやみょうがの葉をひき、すし飯をのせ、酢でしめた魚(さんま・まぐろ・あじなど)、卵焼き、にんじん・椎茸・ごぼうの甘煮、えんどうなどの具を彩りよく並べ、すし飯と具をサンドイッチのように交互に重ねて作るので、他のすしと比較すると時間がかかる。そこで、どのように家庭で調理され食されているか、調理の機会、すし飯の上にのせる材料などを尾鷲市と海山町を比較しながら検討を行ったので報告する。
[方法]調査時期は2003年9月から10月、調査内容は尾鷲市と海山町在住の三重県食生活改善推進連絡協議会会員を無作為に174名(尾鷲市)と海山町(96名)を対象に質問紙法によるアンケートを実施した。また、現地においては聞き取り調査も行った。統計処理はExsel統計Ver,5.0を用いχ2の検定をした。
[結果]1) 調理の実施の有無は調理するが38.5%と少なかった。2) 調理を実施している年齢は60才代が最も多く、次いで50才代であった。3) 調理頻度は海山町の方が多かった。4) 材料の比較は魚類では両地域ともさんまが多く、椎茸の甘煮、ごぼうの甘煮、えんどうの甘煮の順になった。5) 押し型の上にひく植物の葉は尾鷲市ははらん、海山町はみょうがが多かった。6) 押し型の段数は尾鷲市では2段、3段が主流となり、海山町は3段、4段が主流となった。7) 家庭で調理する郷土料理は尾鷲市で12種類、海山町で9種類あった。この地域では高齢世代により伝承されているが若い世代になると店舗で購入する家庭も見受けられる。

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