日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 1E-a4
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口頭発表
寒天ゲルとゼラチンゲルの飲み込みと物性の関係について
*森高 初恵高橋 真美中澤 文子
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抄録

(目的)高齢化社会へ大きく移行する中で、嚥下困難者へ安全でおいしい食事を提供することは大切なことである。一般には、食品の物性を変えて提供することが行なわれている。本報告では、嚥下困難者にとって食べやすいとされる食品の基礎データを集積するために、人が食物を嚥下するときの咽頭部での食塊の流速と物性との関係について検討した。
(方法)寒天ゲルとゼラチンゲルを試料として、咽頭部での流速を超音波画像診断装置により、またテクスチャー特性値をレオナーにより測定し、あわせて官能評価を行った。
(結果)咽頭部での食塊の流速は、寒天ゲルでは0.2%で大きく低下し、0.2から0.4%では緩やかに低下し、0.6%以降では変化が認められなかった。ゼラチンゲルでは0.8%までの流速の低下が小さく、緩やかな下降傾向を示した。食塊の流速を示した波形は2試料とも濃度上昇に伴って輝度が高くなったが、寒天ゲルではゼラチンゲルと比較し輝度が低く、濃度上昇による波形の変化が小さかった。2試料とも濃度が高くなるにしたがって、硬さ、凝集性は小さくなり、付着性は大きくなった。官能評価を行った結果、寒天ゲルは濃度が上昇すると、咀嚼時には壊れやすくなり、ばらつくやすくなり、嚥下力も増すと評価された。ゼラチンゲルは濃度の上昇に伴い咀嚼時に崩れやすくなり、咀嚼力も必要となるが、まとまりやすくなると評価された。また、各測定値間の相関係数を求めた結果、寒天ゲルでは食塊がまとまりやすいほど最高流速が遅くなるという関係が認められ、ゼラチンゲルでは咀嚼時に崩れやすいほど、食塊がまとまりやすいほど、嚥下力を必要とするほど、最高流速が遅くなるという関係が認められた。

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