日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 1E-a6
会議情報

口頭発表
紅麹菌の色素生産性に及ぼす炭素源の影響
*高橋 真美森高 初惠
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】 紅麹菌Monascus ankaの生産する色素は,血圧降下作用,コレステロール生合成抑制作用,ガン予防効果等の生理機能を有することが報告されている。本研究では紅麹菌M.anka AHU9085の色素生産性の向上を目的として,培地に添加する成分のうち炭素源の影響を検討した。
【方法】 炭素源として,スクロース,うるち米デンプン,2種の米デキストリン(DE17.1とDE24.1)の4種類を用いた。培養後の色素抽出液は300から700nmにおける吸収スペクトルを測定することにより色素生産性の比較検討し,色素の分離は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により行なった。測定は470nmの吸光度および吸収スペクトルを測定した。抽出色素の分析は,質量分析(MS)により行い,スキャン範囲m/z/100からm/z/500,コーン電圧40eVで解析した。
【結果】 4種の炭素源の中でスクロースおよびうるち米デンプンを添加した培地よりも米デキストリンのDE17.1とDE24.1を添加した培地が最も高い色素生産性を示した。さらに,米デキストリンのDE17.1を添加した培地が米デキストリンのDE24.1を添加した培地よりも色素生産性は高まった。このことから,紅麹菌の色素生産性に炭素源の性状が関係しているものと考えられた。HPLC分析の結果,4つのピークが確認され,P1からP4画分が得られた。吸収スペクトルと紅麹色素としてすでに化学構造が判明している主要色素の分子量およびMS分析の結果から,培地の炭素源の違いにより生産される色素構造に変化が生じることが判明した。

著者関連情報
© 2006日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top