日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 1E-a7
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口頭発表
W/O/W型エマルションへの乳酸菌の封入による耐酸性への影響
*磯部 由香水野 麻美山下 政続成田 美代
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抄録

【目的】近年、腸内における乳酸菌の役割が注目されているが、胃酸耐性を有する一部の乳酸菌株に限られている。しかし、耐酸性がなくても有用性を持つ乳酸菌が存在する可能性がある。そこで、乳酸菌を胃酸から保護し、生きたまま腸まで到達させるために、W/O/W型エマルションに乳酸菌を封入した場合の保護効果について検討した。また、冷蔵保存の影響についても検討した。
【方法】菌株にはLactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricusLb. acidophilus、及びLb. casei subsp.caseiを用いた。親油乳化剤を添加したオリーブ油に、菌液を加えて攪拌し、W/O型エマルション液とした後、親水性乳化剤を溶解した水を加えて攪拌し、W/O/W型エマルションを調製した。このW/O/W型エマルション液および菌液に塩酸(pH1.5)を加え、振とうした。塩酸を加えた直後から一定時間ごとに中和してMRS平板培地で嫌気培養し、菌数を算出した。
【結果】3株はいずれも、そのまま塩酸にさらした場合、1時間後には全ての菌が死滅し、酸耐性が低いことがわかった。しかし、W/O/W型エマルションに封入すると、Lb. acidophilusは1時間後にはほとんど菌数の減少は見られず、4時間後まで60%以上が生存した。Lb. caseiは1時間後に約80%が生存し、生菌数は減少していくものの、4時間後まで菌が生存していた。Lb. delbrueckiiは、1時間後まで50%以上の菌が生存した。この結果より、W/O/W型エマルションに封入された3種類の乳酸菌はいずれも油の膜に保護され、塩酸に耐えたことが確認された。また、冷蔵保存14日目の菌数はエマルション調製初日の菌数とほぼ同程度であった。

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