日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2A-p5
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口頭発表
二酸化炭素排出におよぼす献立における食材選択の影響
*四宮 陽子有山 かほる宮脇 長人
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抄録


【目的】地球温暖化防止のためには温室効果ガスを大幅に削減しなければならない。我々は昨年度の本大会で、食料自給率は食生活におけるCO2排出に対して大きく影響し、自給率40%の2002年と60%の1970年のCO2排出量の差が、京都議定書のCO2削減目標値に迫る水準であることを明らかにした。そこで現代の食生活の種々の献立について、栄養バランスも考慮しながら効果的にCO2排出量を削減する食材選択について検討した。 
【方法】食材選択の基本は、農産物生産と不足分の輸入輸送および経済バランスによる輸出品の生産と輸送まで含めたC排出量である、有効炭素排出係数σeff (g-C/g-Fd)[1]を用いた。献立パターンは、地産地消と食育を理念とするスローフード献立、若者に人気のファーストフード献立、有効炭素排出係数からC排出量が多い食材を選んだCO2排出献立、逆に少ない食材を選んだCO2削減献立とした。ファーストフード献立は本学学生200名に対してアンケート調査を行いメニューを選んだが、他の献立は食事摂取基準[2005年版]による栄養バランスに則った。
【結果】各献立はファーストフード献立以外は栄養的なバランスが取れていた。CO2排出量を比較すると、牛肉や輸入果物などを使用したCO2排出献立と、主食は主に米、国産の食材や地場の野菜や果物も用いたCO2削減献立とのC排出量の差は、昨年度算出した2002年と1970年の差を越えていた。したがって輸入食材を減らし地場の食材を用いることでCO2排出量はかなり削減できると考えられる。
[1]宮脇長人,上西浩史,相良泰行,食科工,52(6),257-265 (2005).

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