日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2A-p6
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口頭発表
豚肉の料理中に生成される変異原物質/発ガン物質について
*小原 章裕松久 次雄
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抄録

【目的】発ガン物質であり変異原物質であるヘテロサイクリックアミン類(HCA)が肉や魚のようにタンパク質を多く含む食品の加熱処理中に低レベル形成されることが明らかになっている。そこで実際に調理した食品中に生成される変異原物質量を測定することにより、材料や調理方法の違い,調理時間が変異原物質生成にどの程度影響を与えるかを調べる目的で研究を行った。
【実験方法】変異原物質量の測定は.,Amesテストの変法であるプレインキュベーション法により実施した。食品(試料)中の変異原物質の抽出は,変異原物質抽出剤であるブルーレーヨンを用いて行った。食品中に生成される変異原物質は多様なので,試料液により生じた復帰コロニー数よりTrp-P1量に換算して生成変異原物質量とした。
【結果及び考察】豚肉(もも肉)と鶏肉(ささみ)を何も付けずに180℃で過熱し,変異原物質の生成量について比較した。10分加熱した際に30gの肉片あたり鶏肉は5.6μg,豚肉は3.6μg であった。両検体とも加熱時間と共に変異原性が予想通りそれぞれ上昇した。次に,調理法の違いによる変異原物質の生成量は,「焼き」と「揚げ」で加熱時間の経過とともに直線的に変異原物質量が増加した。「煮る」では,時間の経過とともに若干増減はあったがほぼ横ばいだった。8種の野菜について豚肉と一緒に加熱した場合と加熱した肉に生の野菜を添加した場合について検討した。ニンジンは,両方の場合ともに8種の中で最も変異原物質の生成抑制率が高く,ダイコン,タマネギ,ナス,キャベツでも同様の傾向を示した。また,香辛料や調味料4種類(醤油,穀物酢,黒酢,味噌)についても同様に検討した。用いた野菜,調味料と豚肉で実際に調理を行い,生成した変異原物質量を測定すると,試料個々で発現した変異原生成抑制率の中で最も高い抑制活性を示した試料と同程度の抑制を示した。

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© 2006日本調理科学会
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