日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2B-a3
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口頭発表
麺開発を目的とした雑穀生地特性の把握
*前田 穣遠山 良
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キーワード: 雑穀, , ヒエ
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抄録


目的:近年、岩手県においては雑穀の生産量は増加している。食物繊維、ミネラルを豊富に含む雑穀に対して、健康志向の消費者、生産者、加工業者、流通販売業者の関心は高い。しかしながら、雑穀の特性は従来の加工原料として用いられてきた、小麦、馬鈴薯澱粉等に比べ異なっており、現段階の加工機器、製造方法の枠内では使いにくい素材とされている。本研究においては、雑穀を主原料とした麺開発に繋がる知見を得ることを目的とした。
方法:花巻産のヒエ、ウルチアワ、モチアワ、キビを製粉し、試験に供した。湯捏ね、水捏ね、蒸練によって得られた生地を長さ約200mm、直径30mmの棒状になるポリ塩化ビニリデンチューブに充填し、80℃水と沸騰水中において、それぞれ20、40、60分間の加熱を行った。加熱後、25℃で約24時間静置したのちに、「湯中での生地保持性」及び「生地の物性」を評価した。湯中での生地特性は試料を75℃水中に入れ、20分間静置した後の未溶解物重量を測定することにより評価した。生地の物性は、高さ30mm、上底面直径30mmの円筒形となるように試料を切り出し、上面中央への直径5mm円柱プランジャーによる押し込み試験により破断距離、破断強度を測定することにより評価した。
結果:ヒエについては、蒸練処理によりデンプン生地と同等の生地が得られることが判った。ウルチアワについても蒸練によりデンプンと同様の生地が得られることが期待できた。モチアワ、キビについては、湯中での生地保持率は高かったものの、柔軟性は低いため、ヒエやウルチアワと比較した場合に麺材料としての適性は低いと考えられた。

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