日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2B-a9
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口頭発表
製餡適性を有する新規素材の検討
*伊藤 知子川越 聖子高橋 美奈
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抄録

【目的】餡は細胞状食品であり、細胞内に含まれるデンプンが細胞外に流出量が少ないほどサラサラした触感を有し、良質の餡であると考えられる。餡の材料のほとんどは小豆やインゲン豆であるが、これら以外にも餡としての適性を有する食品は多いと考えられ、そのような食品を利用することで例えば和菓子の多様性が広がる可能性もある。種皮の色素にラジカル補足活性を有することが明らかになり、用途の拡大が望まれるツタンカーメンエンドウ、および大阪特産のクワイについて検討を行った。
【方法】ツタンカーメンエンドウおよびクワイを用いて餡を作成した。細胞外に流出したデンプン量を酵素法により測定し、小豆の場合との比較を行った。また、顕微鏡観察により形状観察を行った。さらに、総合的なテクスチャーについて検証するために、パネル41名による官能検査を行った。
【結果】細胞外へのデンプン流出量はツタンカーメンエンドウ、クワイ共に小豆餡とほぼ同じであり、餡としての適性が認められた。テクスチャーについては、官能検査の結果からツタンカーメンエンドウは、小豆餡と同等、もしくは高い評価が得られた。顕微鏡観察の結果からも、細胞の形状は小豆と似ており、エンドウ独特の色を生かした利用が期待できる。一方、クワイについては評価が分かれ、小豆餡のテクスチャーとは異なることが分かった。顕微鏡観察の結果から小豆餡よりも細胞のサイズが大きく、また細胞表面に凹凸が見られ、これがザラザラした触感の原因となっていると考えられる。この独特の触感を生かした製品の開発、また製餡方法の改良が必要であると考えられた。

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