日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2B-p4
会議情報

口頭発表
精白米の品質保持に冷凍保存を利用する試み
*小林 麻衣子貝沼 やす子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

[目的] 米を長期に保存するに当たり、現在は玄米の状態で低温に保存されているが、遠洋漁業で捕獲された大型魚を保存するための超低温(-60℃)倉庫に保存可能な他の食材の模索が行われていることから、精白米での保存の可能性を検討した。
[方法] ポリエチレンの袋に入れた精白米を紙袋に包んで密封し、10℃、-20℃、-40℃、-60℃の各温度で2,4,6ヶ月保存し、各保存温度・保存期間における精白米の性状変化を検討した。測定した項目は、生米については水分含量、吸水率、吸水させた米の硬度、水浸漬時に溶出した還元糖量、グアヤコール法による米の鮮度判定である。米飯については加水量1.3倍、1.5倍、1.7倍の3種類で炊飯し、破断強度及びテクスチャーの測定、官能検査などを行った。
[結果] 生米については、保存による水分含量の変化は見られなかったが、保存温度が高い米ほど吸水率が低下し、吸水させた米の硬度は増加した。また、水浸漬時に溶出する還元糖量は減少し、米の鮮度も低下した。いずれの現象も10℃の低温庫保存の米において顕著であり、保存期間が長くなるにつれ保存温度が高い米ほど0ヶ月との間に差が生じた。米飯についても、保存温度が高い米で炊飯した米飯ほど保存期間の経過に伴う変化が生じ、硬く付着性の少ない米飯となり、10℃の低温庫保存の米において特に顕著に米飯の物性に変化が現れた。-60℃保存においては、米の性状、米飯の物性は0ヶ月とほぼ同じ状態が維持されており、官能検査でも有意に好まれた。-60℃という超低温を利用した保存は、米の品質保持の点で明らかに優れていると推察された。

著者関連情報
© 2006日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top