日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2B-p6
会議情報

口頭発表
米の調理過程における香気成分生成へのデンプン分解酵素活性の影響に関する研究
*升井 洋至内山 綾子竹内 若子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】我々はこれまでに,白米,玄米等を試料に、発芽に伴うデンプン分解酵素(α-グルコシダーゼ:α-GSD,プルラナーゼ:PUL等)活性の挙動から炊飯米における還元糖生成への影響について検討を行ってきた。しかし,米飯の香気成分の生成とこれら分解酵素活性との関連性については,未だ十分な検討がなされていない。そこで本研究では、米の貯蔵に伴う糖質分解酵素活性の変動と炊飯過程での香気成分生成への影響について検討してみた。
【方法】試料米は,主に「日本晴」(平成16年度滋賀県産)を用い、4℃,室温(25℃),37℃の温度条件で保管(0から14日間)したものについて比較検討した。酵素活性は,調製試料米を,粉砕後,抽出緩衝液にて磨砕後の上清を粗酵素液とした。α_-_GSDおよびPULの両活性は,マルト_-_ス,プルランをそれぞれ基質として測定した。炊飯米の香気成分は,におい識別装置(島津製FF1)およびGC_-_MS分析(島津製GC-17A_-_GC-QP5050A)により行った。また,別品種の試料米として、国産の「あいちのかおり」、中国産の「もち米・短粒」および「もち米・長粒」、「黒米」、「香米」についても比較検討してみた。
【結果】貯蔵温度,貯蔵期間による,α_-_GSD活性の変動は,4℃保存条件の場合,精米後1日目でやや上昇しその後わずかに低下し,10日目まで漸増した。室温(25℃)、37℃保存でも同様の挙動を示したが,保存温度の上昇につれて変動は小さくなった。また、PUL活性の4℃保存では、5日目で最大活性を示したが、その後14日までは低下傾向を示した。37℃および室温下では、同様に5日目で最大となり、4℃の約1.5倍もPUL活性上昇が認められ、保存温度が高いほど活性増加が大きかった。

著者関連情報
© 2006日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top