日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2B-p7
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口頭発表
浸漬による米アレルゲンの低減化に及ぼす浸漬時間とpHの影響
*山田 千佳子鍋田 早希子間崎 剛加藤 保子和泉 秀彦
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抄録

【目的】これまでに我々は、米を一定条件下で浸漬すると可溶性タンパク質が溶出することに着目し、これを利用した浸漬による米アレルゲンの低減化について報告している。そこで本研究では、米の浸漬時間および浸漬溶液のpHを変化させることによるアレルゲンの溶出量を解析し、低アレルゲン化の最適条件を明らかにすることを目的とした。
【方法】精白米を0.5MのNaCl溶液に浸漬させ25℃、50℃で一定時間(0-24h)置いた。米から浸漬溶液中に溶出したタンパク質量をLowry法で定量し、タンパク質組成をSDS-PAGEで、アレルゲン溶出量の変化を特異抗体を用いたイムノブロットにより調べた。さらに浸漬後の米粒より可溶性タンパク質を0.5MのNaCl溶液で抽出し、米粒中に残存しているタンパク質についても溶出タンパク質と同様に解析した。また浸漬溶液のpHを 2-10に変化させて24h浸漬後に同様の解析を行い、アレルゲンタンパク質の溶出に及ぼすpHの影響について調べた。
【結果】浸漬時間による可溶性タンパク質およびアレルゲンの溶出量について調べた結果、16hまでは浸漬時間が長いほど溶出量が増加したが、その後はほとんど変化がなかった。また、50℃で浸漬したところ25℃の約1.6倍のタンパク質が溶出し、アレルゲン溶出量も増加した。さらに浸漬溶液のpHを変化させた結果、pH2-4およびpH9、10で溶出タンパク質量が多く、それにともなって14-16kDaアレルゲンも溶出されていた。また、26kDaアレルゲンはpH4で浸漬したところ、浸漬溶液中にも米粒残存可溶性タンパク質抽出溶液中にも確認されなかった。

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