日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2C-p7
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口頭発表
異なる調理器具を利用した調理方法の特徴比較
調理成績、調理時間、エネルギー消費量、調理操作性について
*杉山 久仁子
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抄録

【目的】加熱調理においては、圧力鍋や保温鍋、オーブンレンジなど様々な調理器具が利用されている。従来の鍋を使用した調理よりも手間が省ける、省エネルギーであるなどといわれているが、実際に一つの料理を異なる調理器具で調理した時の特徴についての総合的な比較はほとんど行われていない。本研究では、調理における負担感の異なる2種類の料理を取り上げ、調理成績や調理時間、エネルギー消費量、調理操作性などを比較した。
【方法】調理時間がかかるビーフシチュー(B)と調理技術を要するカスタードプディング(C)を、普通鍋(B)、保温鍋(B,C)、圧力鍋(B,C)、電気煮込み鍋(B)、蒸し器(C)、オーブンレンジ(B,C)を使って調理した。予備実験により肉の硬さ(クリープメーター、破断強度)と卵ゲルのすだち状態(目視)を基準に最適な調理条件を決定した。その条件における調理所要時間、ガス消費量、消費電力を測定し、官能検査を行った。
【結果】ビーフシチューについては、いずれの調理器具を使ってもほぼ同程度の調理成績のものが得られた。調理時間の短縮では圧力鍋、エネルギーの節約では保温鍋・圧力鍋・電気煮込み鍋、手間の軽減では保温鍋・電気煮込み鍋において普通鍋の調理よりも利点が認められた。プディングは、異なる調理器具で調理成績をそろえることは困難であった。調理の簡便さでは、蒸し器(余熱利用)・保温鍋・オーブン、調理成績ではオーブン、エネルギーの節約では保温鍋において蒸し器による通常の調理方法よりも利点が認められた。今回の実験で得られた基礎的なデータは、調理担当者がその生活スタイルや考え方などに応じて調理方法を選択する際の目安となると考えられる。

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