日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2D-a6
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口頭発表
低温スチーミング処理を行ったハンバーグの食味特性
*岩森 大山崎 貴子伊藤 直子堀田 康雄村山 篤子
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抄録

【目的】ハンバーグは日常的に幅広く親しまれている料理の一つである。ハンバーグのおいしさは、香り、味、テクスチャー、特に「ジューシー感」と呼ばれる多汁性に左右される。一般家庭においてハンバーグは手作りされる場合も多く、調理方法の改良によるおいしさの向上が期待される。これまでに、低温スチーミング調理による食材の軟化や栄養素の保持などの有用性を報告してきた。本研究ではスチーミング処理を行うことによって、ハンバーグの食味をさらに向上することを目的に、検討を行った。
【方法】ハンバーグの材料として、一般的に用いられる牛挽き肉(もも)を用いた。スチーミング調理の際は、100gの小判型に成型したハンバーグを用いた。条件は60℃、75℃でそれぞれ15分、30分、60分で行った。その後、室温に戻した後フライパンを用いて焼き、スチーミングせずに焼いたハンバーグと比較した。ハンバーグを焼く際は食品衛生マニュアルに従い、中心温度が75℃以上、1分間持続するように調整を行った。それぞれの試料について、栄養成分値、テクスチャー測定、官能評価から、食味特性を比較した。
【結果及び考察】スチーミング処理後のハンバーグの内部温度は、60℃スチーミングで53℃、75℃スチーミングで67℃であった。スチーミングしたハンバーグは生に比べ、重量が増加し、75℃スチーミングで特に膨潤が見られた。スチーミング済みのハンバーグを焼くと、スチーミングせずに焼いたハンバーグに比べて、肉汁の流出が少なかったが、中心温度が75℃に到達するまで1分以上時間を要した。75℃で15分スーミング処理したハンバーグが柔らかく、ジューシー感で高い評価を得た。一方、60分スチーミングしたハンバーグは、硬くなりテクスチャーの評価が悪かった。以上のことから、低温スチーミングの温度及び時間が、ハンバーグの調理において食味に影響を及ぼすことが分かった。

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