日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成18年度日本調理科学会大会
セッションID: 2D-p1
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口頭発表
幼児における「調理保育」の実践
*柿山 章江安部 テル子
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キーワード: 幼稚園, 五感, 調理実習
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抄録

【目的】昨年度の本大会において、幼児期の調理保育のカリキュラムを策定するにあたり、1)季節の食材を使う、2)加工食品ではなく素材からの料理を心がける、3)収穫した農作物を使用する、4)調理過程における食品の匂いや形の変化に興味を持たせる、5)「食品素材」から「料理の出来上がり」までの一連の過程を体験させる、6)行事食を取り入れる、といった6つの基本方針を報告した。そこで、今回、幼児が食材や調理に興味を持つことを目的として感覚的に記憶に残るような五感を使って体験出来る調理保育カリキュラムを作成し、調理前に匂い当てゲーム・絵本・食物見本を使って食材、調理の由来を説明し、調理過程の中で味覚(食材自体の味を知る)、視覚(食材料が姿を変えていく姿を見る)、嗅覚(匂いをかぐ)、触覚(切る、剥く等)、聴覚(食材料の姿が変化する時の音を聞く)で体験する調理実習を行った。
【方法】幼稚園年長児20名を対象として、2004年5月から2005年1月、月1回の頻度で計8回の調理実習を行った。また、調理実習後、教諭、家庭及び幼児に実践内容や食意識に関するアンケート調査を行った。
【結果】年長児が材料の計量から仕上げまで全ての調理に関わることは可能であった。また、本調理実習の中で最も関心の高かった献立は、子供がクリスマスケーキで、教諭がサツマイモを使った料理であった。さらに、調理実習後の家庭において、子供が料理に参加する回数の増加、嫌いな食材の克服や食生活を見直すきっかけになったとの意見が聞かれた。
【結論】幼児における調理保育は、カリキュラムの工夫により幼児期の調理に対する興味・関心を高め、食意識の向上を促す可能性が示唆された。

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© 2006日本調理科学会
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