日本調理科学会大会研究発表要旨集
創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
セッションID: 1C-a5
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口頭発表
中等教育の調理実習における揚げ調理の実態調査
*伊藤 知子井上 吉世我如古 菜月久保 加織中原 満子中平 真由巳原 知子松井 正枝水野 千恵明神 千穂村上 恵湯川 夏子和田 珠子
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抄録


【目的】
 食育の目的である健全な食生活の実践のためには調理能力を身につけることが重要である。代表的油系加熱である揚げ調理には油の温度の判断、揚げあがりの判定、油の使用限界等について経験に基づく判断が必要とされるが、家庭での調理頻度は低下している。学校での体験が重要となるので、中等教育における調理実習の現状、特に揚げ調理のとりあげ方について以下の方法により実態調査を行った。
【方法】
 <教科書調査>家庭科教科書(中学2種類、高校19種類)について総料理数、揚げ物料理数、揚げ物料理数の記載の推移を調査した。<アンケート調査>近畿圏の中学・高校家庭科教員を対象として平成18年11、12月に質問紙による郵送法で行った。調査内容は調理実習の1クラスの生徒数、献立、過去の揚げ調理実施状況、揚げ調理を行う際の困難な点、調理実習についての意見など20項目であった。回収部数は中学90校(回収率35.0%)、高校105校(40.1%)であった。
【結果】
 中学教科書では揚げ物調理について記載がなく、高校では総料理数の2.3%であった。記載は経年的に減少していた。揚げ調理実施校は中学約20%、高校は選択科目も含めて約20%であり減少傾向にあった。実施している場合でも素材の処理、揚げ操作、油の処理すべてに生徒が関わっているケースは少なく、一貫した経験ができていないことが明らかになった。揚げ調理の必要性について高校では「必要」と感じているが、危険を伴うため行いにくい状況にあることが示唆された。その背景として中学・高校共に準備片付け時間、授業数の不足に加え、設備の老朽化などの理由で調理実習を行うこと自体が難しくなっている現状があげられる。

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