抄録
【目的】
冷凍食品は、貯蔵性、簡便性に優れており、消費者ニーズの多様化、外食事業の進展等により市場が拡大している。魚フライは冷凍食品生産数量上位20品目に含まれているが、その官能評価方法は確立されていない。そこで、市販冷凍食品の白身魚フライの官能評価方法を決定した上で、フライの品質特性について明らかにすることを目的とした。
【方法】
試料には市販のフライ済み白身魚フライ5品を選定した。パネルはISO 8586-1に準拠した訓練を受け、様々な食品の評価を120時間経験した11名で構成した。まず、パネルに試料の特性描写用語を書き出させて69語を得た。続いて各用語の適正判断をさせ、さらに専門家パネルの討議によって33語に整理した。これらの用語について5段階尺度を用いた予備的な官能評価を行い、クラスター分析によって用語を分類し、最終的に、白身魚フライの評価用語として11語を選定した。本評価は、これらの11語を評価用語として、線尺度を用いて行った。試料は包装に記載された調理方法通りに電子レンジで加熱し、室温まで冷却し、単独で提示した。データ解析には、一元配置の分散分析、Tukeyの多重比較、主成分分析を適用した。
【結果】
分散分析の結果、11語中10語に試料間の有意差がみられた。主成分分析の結果、第1主成分はバッター(衣と魚のつなぎ部分)の結着感、第2主成分は衣のかたさ、第3主成分は魚の水分の軸と解釈でき、寄与率はそれぞれ、26%、20%、13%であった。この3次元空間に試料は布置されることがわかった。以上のように、市販冷凍食品のフライ済み白身魚フライの評価方法を確立し、その特性について定量的に明らかにすることができた。