日本調理科学会大会研究発表要旨集
創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
セッションID: 2D-a3
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口頭発表
蒲鉾への乳化油脂加工品添加による魚臭低減効果
*木庭 朋子木村 知文堀井 直人柳澤 琢也兒嶋 高志重松 康彦長谷川 峯夫
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キーワード: 乳化油脂加工品, , 蒲鉾, 魚臭
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抄録

【目的】
 植物油脂を卵で乳化した乳化油脂加工品(以下、乳化油脂)は、様々な食品の食感・品質改良を目的として使用されることがある。特に蒲鉾への添加においては、1)食感のソフト化、2)歩留まり向上、3)すり身の白度向上、4)魚臭低減等の効果が知られている。3)、4)は、風味・質がやや劣る魚種の場合により顕著であり、スケソウダラ等の収穫量減少によって代替使用されるイトヨリが一例である。本研究では、水煉製品への使用が多い卵白ベースの乳化油脂(商品名:ヨークランNo.6、キユーピータマゴ(株)販売)を使用し、これまでデータ化がされていない乳化油脂の魚臭低減効果について明確にすることを目的とした。
【方法】
 イトヨリすり身に対して乳化油脂を0%(対照)、5%、10%、20%添加した蒲鉾を試料とした。魚臭の発生源であるすり身の配合率は一定にし、乳化油脂は清水と置き換えた。においの解析は、評点法による嗅覚での官能評価、SPME法によるGC-O分析およびGC-MS分析にて行った。
【結果】
 官能評価より、乳化油脂の添加量増加に伴って、対照と比較して魚臭さが弱くなることが確認された。GC-O分析より、乳化油脂20%添加で、対照よりも石油、ケミカル、魚臭、青臭いといったにおいを弱く感じる傾向が認められた。GC-MS分析より、乳化油脂添加試料では、同上のにおい成分の応答値が減少する傾向があり、官能評価の魚臭さの減少との相関が見られた。
 以上の結果から、乳化油脂には、イトヨリすり身を使用した蒲鉾に添加することによって魚臭を低減する効果のあることが示された。
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© 2007日本調理科学会
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